[五島ヤブ椿石鹸]地域の産業を活性化、世界に対抗するただ一つの石鹸

2019.5.10

「オンリーワンからナンバーワンになりたいです。」

 

その一言は、何の決め台詞でもなく、取材中にインタビューアーから何気なくこぼれた一言、今回の取材でもっとも心に響いた言葉でした。

 

一般的にオンリーワンを狙う事は難しいが、見方を変えると、簡単な事でもある。人と違う事をすればオンリーワンになることが出来るからだ。しかし、ナンバーワンになるにはただ人と違う事をしていてはなれない。なぜなら、ナンバーワンは文字通り、その業界でトップにならないと行けないからだ。世界のナンバーワン企業はジャンルごとで様々で、ファーストフードではマクドナルド、ファッションではインディテックス(ZARAなどのブランドを手掛ける)とナンバーワンになると売り上げに比例して知名度も上がっています。九州の最西端の地で石鹸業界のナンバーワンを目指して奮闘している会社があります。それは「五島ヤブ椿石鹸」。

 

「五島ヤブ椿石鹸」は長崎県五島列島の福江島に拠点を置く会社です。

 

福江島とは、九州の最西端140の島々からなる五島列島で最も面積が広く、人口約3万7000人で、日本全国にある有人島の中では面積・人口とも上位に入り、本土から少し離れているも、コンビニ・ショッピングモールなど充実しており、島々の中でも住みやすい島です。

 

また、江戸時代からのキリシタンの歴史が根強く残る島としても人気があります。

堂崎教会:福江島のシンボルでもある教会で、有形文化財に指定されています。キリシタンの弾圧の歴史や実際の資料が保管されており、建物内のステンドグラスには椿の模様が描かれています。

 

そんな五島列島福江島で、自分の持っている技術や経験で島を少しでも活性化させ変えたい。そんな旗の下に集まった人達が作った会社が「五島ヤブ椿石鹸」です。

 

島の特産品である椿をふんだんに使い、手間を惜しまず作った消費者ファーストの想い、島で作れる人はただ一人しかいないこと、個ではなくチームとしての団結することへの強さを学ばせてもらいました。

ここからは私が、「五島ヤブ椿石鹸」代表及び共同創設者である立石光徳さん、販売担当である桑田隆介さんにインタビューした内容です。


立石光徳(たていしみつのり)
昭和22年長崎県五島市生まれ、2008年五島市商工会会長に就任、2016年より五島ヤブ椿株式会社代表取締役就任


 

 

 

熱い気持ちを持った同志との出会い

 

――こんな素晴らしい石鹸を作られていて、なぜヤブ椿石鹸を作ろうと思ったのですが?

 

立:最初のスタートは、他の設立メンバーが2010年にNPO法人カメリア五島を作り、その中で何か五島列島の活性化につながることが出来ないか話があった時に、椿油・食用オイルなどは原案であったのですが、それでは今までに五島列島にあった物だったので納得が行かず、まず原点に戻ってみることにした。

 

五島のおばあちゃん達はどんな形で今まで藪椿使っていたのか考えた。昔から藪椿は、洗面器にお湯を入れて椿オイルを入れ、それを髪に塗ってすすぐと、今で言うコンディショナーのような使い方をしていた。

 

何か今までに無かったものや付加価値が付くものを作りたくて、話し合いを進めた結果、付加価値が付きやすい椿を使った化粧品を作ろうと大枠が決まった。

そのNPOを支えていて東京でプランナーをされていた板井さんが、県庁の方に相談して県庁から私に話があった。化粧品と言う大枠は決まっているがその先が決まっていなかったので、椿をどうにかして持続可能な商品にしたいから一緒にしませんかと誘われ二つ返事。そこから、話し合いを進めて、なんでも洗えて万能である石鹸を作る事に決まった。五島ヤブ椿が出来たのは2015年で、そこから一緒にみんなでアイデアを出し合い、切磋琢磨して石鹸を作った。

実際の商品の様子 ヤブ椿石鹸を購入すると、立石さんが一つずつ手作業で作った椿の葉脈を使ったしおりがついて来ます。(写真は「YABU100」)

 

 

世界に対抗出来る石鹸

 

――椿石鹸はとても画期的なアイデアだとは思うのですが、これからのヤブ椿石鹸が進んで行く目標はありますか?

 

立:板井さんと話してはいたんですが、アレッポに勝てる商品にしたいと言う目標はある。

 

※アレッポとは

地中海の東に位置するシリアで作られており、主にオリーブオイルを原料に作られた石鹸。ヨーロッパ圏ではとても人気がある。

 

桑:向こうはオリーブ・こっちは椿で対抗し、どちらも世界三大オイル。ここから世界を見通し、世界一になろうと思っている。

 

※椿油について少し説明させて頂きます。

椿油とは、全体で2種類あり、椿油とカメリア油です。椿油とは日本古来品種であるヤブツバキの種子から取れる油で、カメリア油とはヤブツバキ以外のツバキ属から取れる油の事。品質での違いは、オレイン酸の含有量で、椿油はオレイン酸含有量が最も多いです。オリーブオイルより多いです。ちなみに、オレイン酸は人間の皮膚の構成成分の一つです。

 

 

従来のやり方に風穴を

 

――他の石鹸とは違う強みや、石鹸作りで工夫されている事がある場合は教えて下さい。

 

立:低温圧搾(コールドプレス)と低温製法(コールドプロセス)って言うやり方で石鹸を作っています。世の中に低温製法の石鹸はよくありますが、椿油を圧搾するところから全工程を低温で、手作業でやっているところは国内では五島ヤブ椿だけだと思います。

 

低温製法(コールドプロセス)とは

昔ながらの製法で、材料を常温でじっくりと時間をかけて実を潰し、油を取るやり方。このやり方をすることで、取れる椿油の量は少なくなりますが、材料に含まれる成分がそのまま劣化しません。

一般的には高温製法(窯炊き/ホットプロセス)と言うやり方で、作っています。高温で蒸して潰すことで椿油は沢山取れますが、成分が破壊されやすくなります。

 

このやり方をしているので、椿油に含まれる肌の保湿成分であるグリセリンがそのまま石鹸に残り、十分に閉じ込めておくことが出来ます。また椿油を抽出する手法においては、高温圧搾で絞られた椿オイルと低温圧搾で絞られたオイルでは、保湿力が2.5倍も違います。その分作れる個数にも限度があります。すべて手作業で作っているので、一般的な石鹸作りより何倍も時間がかかり、10時間以上つきっきりで作る事もある。

しかも、一つ作るのに2カ月以上はかかる。そうやって一個一個丁寧に作った石鹸です。

出来あがった石鹸を乾燥しているところ。石鹸が出来あがる最後の工程であり、湿度・温度を正確に管理し2カ月以上寝かせる。

 

立:実際に椿の実があるんだけど、見た事ある?

 

――いや、無いです。見せてもらってもいいですか?

 

立:いいよ、実はこの椿の実は火をつけると燃えるんだよ。

右が収穫した椿の実で、左の黄色い実が皮を剥いた椿の実。

 

そう言われ、おもむろに実を剥き始められた立石さん。実の皮を剥くと栗のように渋皮がありそれをもう一枚剥くことで、椿の果実を見ることが出来ました。実際に果実を見てみると、色は黄色く表面には少し光沢があった。実は苦く食べることは出来ないそう。実際に火を付けられた所、火は力強く燃え、いい香りがしました。

実際に椿の実が燃えている様子 火に温かみがあり、ずっと見ていられました

 

――石鹸を作る際に使われる椿の実はどうされているんですか?

 

立:今は7~8軒の農家から買っている。椿だけ作っている農家は少なくて、他に何か農作物を作っている人達が多い。意外と昔から山に植わっている椿の実を取っている人が多い。去年はkg数で言うと、200kg集まって、一昨年は1t集まった。

 

――年回りで数量に差がありますね。

 

立:実がなる年とならない年が交互に来るので、量にムラが出てくる。しかも、実がならない木もある。だから、量は一年一年で考えるのではなくて、二年周期で計画を立てて、石鹸作りをしないといけない。

だからストックを作っている。

 椿油の鮮度が落ちないように、缶の中に窒素ガスをいれ、しっかり密封をして冷蔵庫で保管している。

 

特別に中身を見せて頂きました。透き通った黄金色で、鮮度の良さが色に現れていました。

 

――椿の収穫はいつされるんですか?

 

立:9月~11月かな。実は栗のように椿の皮に覆われていて一つの果実に、7~8個実が入っている。普通は木の上で果実を開くのを待ち、収穫するのですが、それではいつ地面に落ちたのか分からなくなるので、五島ヤブ椿は、果実をあらかじめ収穫をしておき、それを広げて干すことで、乾燥させ果実を開かせ実を取るようにしています。

 

集めた椿の実は、鮮度落ちなどが混入してないか確認するために再度選別するなど、工夫しながら念入りに椿油を作っています。

椿の実(桑田さん写真提供)

 

――最初の原材料である実から良いものを使っていますね。五島ヤブ椿石鹸を使った時、とても肌触りが良くなり、肌の調子が良くなったのですが、特別な成分が入っていますか?

 

立:それは椿オイルに含まれるグリセリンの効果だね。成分はむしろ逆で、何も入れていないのが特徴。

 

五島ヤブ石鹸は香料・合成着色料・合成保存料・酸化防腐剤は一切入れていない。なので、科学的な成分が入っていない代わりに、一般的な石鹸に比べると泡たちは少ないが、天然に近い石鹸に仕上がっている。

 

 

椿石鹸の飽くなき挑戦

 

――これまでに苦労したことは何ですか?

 

立:色々苦労はして、始めは、石鹸作りを行う上で島民、皆さんの理解を得ることが難しかった。時間も人もいなかった。今まで販売をお願いしていた板井さんが急に会社の都合で、忙しくなったので、疎遠になってしまった。でも、これからは桑田君が変わりに販売担当で関わってくれるので、凄く助かっている。

 

石鹸作りに関しては、会社の様々な状況が変わった事が原因で、去年にスランプに陥って、何ヵ月か作れない時期があった。今はもう作れるようになったが、「YABU100」を作るには卓越した技術がいるので、慢心せずにこれからも技術向上を図って行きたい。

 

桑:今はネットショップでの販売を行っており、9000円と言う高単価でありながら、東京を中心に各地から注文が相次いでいます。

 

これからは少しずつアンテナショップを利用し、取り扱い店舗を増やして行きます。2020年には国際ツバキ会議五島大会及び椿サミットが開催されることが決まっており、世界の方々が五島列島に足を運び、そこで五島ヤブ椿石鹸の魅力を発信し一気に世界を視野に入れて販売経路の拡大を行っていきます。

 

これまでスポットライトが当たりにくかった椿、しかし、椿の万能酵母が発見され、少しずつ椿に対する関心が高まってきています。

 


 

ーー「五島ヤブ椿石鹸」は藪椿油純度が100%の「YABU100」と藪椿油とヤシ油をブレンドした「YABUブレンド」があります。どちらも違った洗い上がりがあるそう。

私は「YABU100」を実際に使わせて頂いたのですが、初めて感じた使った後のモチモチとした肌触りやいつまでも続く保湿効果は今までに経験したことのない質感で、椿オイルのそこ力・立石さんの技術の集大成を肌で感じ、驚愕させられました。ぜひ皆さんこの質感を実際に味わってみて下さい。

 

五島ヤブ椿石鹸はコチラから

 

゙五島ヤブ椿石鹸 https://www.goto-tsubaki.co.jp/゙ より引用

都心を中心に知名度が上がって来ている五島ヤブ椿石鹸。

そこには大手では出来ない、高品質小ロットで完全に消費者目線で作られた石鹸がありました。

日本が誇る石鹸では間違いなく最高ランクに達している五島ヤブ椿石鹸は、世界からどのような評価をもらい、世界一のポジショニングを取ることで、オンリーワンからナンバーワンになる日が来るのではないかと思います。

 

これから椿が起こす新たなムーブメントにとても期待しながら、五島列島を後にしました。

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